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動物の医学 日常ケア: 2018年9月

犬の鼻が濡れているのは元気な証拠?!

犬の鼻が濡れているのは元気な証拠⁉
こんにちは、看護師の柳田です。
わたしはわんちゃんの鼻を触るのが大好きです!
つるつるぷにぷにで、しっとりしていて気持ちがよくないですか!?

よく、犬の鼻は健康のバロメーターなんていわれたりしますが、それはなぜでしょうか?
今回はそんな犬の鼻の秘密についてお話したいと思います(^^)

ズバリ、犬の鼻が濡れているのには〝理由〟があります。
それは〝ニオイを確実に捉えるため〟なんです。



犬の鼻の構造は大きく3つに分かれていて、まず鼻の穴にあたる部分が「外鼻孔(がいびこう)」…写真①
という部分で、人と違い横にも切れ目が入っています。

これは鼻をひくひく動かすことによって、正面からだけでなく横からも空気を取り込むためです。

つぎにまんなかに入ってる縦線の部分は「上唇溝(じょうしんこう)」…写真②
といい、この部分は常に水分を蓄えていて、ニオイ分子の吸着に役立っています。

3つめは鼻の表面にある細かい溝の部分です。ここは「鼻鏡(びきょう)」…写真③
といわれる部分で、ここでも上唇溝と同様にその溝に水分を蓄えることでニオイ分子を吸着し感度を高めています。

また、鼻の中には温度センサーがあり、左右の気化熱の温度差を感じ取ることで風がどちらから吹いているかを把握することができます。

なんだか難しいですが、簡単に例えると、乾いた手の平よりも濡れた手の平を風にかざした方が、風の向きを判断しやすいですよね!
そんな感じです。

また、濡れた鼻はニオイを感じ取りやすくする役割だけでなく、熱を放散して体温調節をする、という役割も果たしています。

あ!余談ですが、犬の鼻の表面の模様は「鼻紋」と呼ばれていて、人間の指紋のように犬によってそれぞれ違っているそうです。
なんだか愛犬の鼻の模様をじっくり観察してみたくなってきませんか?(笑)
だから、犬にとっては鼻が濡れていることが普通の状態であり、「犬の鼻が濡れているのは元気な証拠」と言われるようになったんですね。

では、犬たちはどうやって鼻を濡らしているのでしょう。
犬の鼻を濡らしている水分は、涙と汗のような分泌物が混ざり合った成分で、目の表面を保護するために分泌される涙が鼻の奥に流れ、鼻の奥にある外側鼻腺という器官から出ている、人間の汗のような分泌液と混ざり合ったものです。
もしくは、自ら舌で鼻を舐めて濡らしていることもあります。

ですが、犬の鼻って乾いていることもありますよね。
鼻が乾いているからといって必ずしも病気や異常な状態というわけではありません。
眠っている時やその前後、また何かに夢中になっている時は乾いていることもあります。
理由としては、眠っている時は目を保護する必要がないために涙も出ないですし、気温が快適であれば体温調節のために熱を放散する必要もないからです。

何かに夢中になりすぎている時は、おそらく鼻を濡らすことすら忘れてしまっているのでしょう。
しかしながら、しょっちゅう鼻が乾いている場合には体調不良が原因の可能性もあります。

例えば、発熱や脱水で乾いていたり、皮膚の病気で鼻の表面に異常が起きている、他には目や鼻の病気で涙や鼻の分泌液が分泌されなくなったり、分泌液の通り道が詰まってしまっているなんてこともあるかもしれません。

鼻の濡れ具合だけで、愛犬の状態を把握することはできませんが、元気食欲はあるか、咳やくしゃみがないか、発熱していないか、下痢や嘔吐がないかなどといったポイントと合わせて、愛犬の健康管理のバロメーターの一つとして観察してみてもいいかもしれませんね。

犬の爪と猫の爪



犬の爪は、1本の肢に4~5つあります。
5つ目の爪は狼爪と呼ばれており、中にはない子もいますが、先祖であるオオカミからの名残と言われています。
爪切りをするうえで忘れがちなのが、この狼爪です。
地面に接していないため、普段の生活で削れることはありません。

そのため、伸び続けると巻き爪になってしまい、肉球に食い込んでしまうこともあります。

そうなると、傷口から菌が入り炎症を起こしてしまいます。
また、他の爪も伸ばしすぎてしまうと、中を走っている神経や血管も一緒に伸びてしまうため、短く切ることができなくなってしまいます。

伸びすぎた爪がカーペットやマットに引っかかって折れてしまうこともあります。
散歩や外に連れ出す機会が多く、運動量の多い子は地面に擦れて自然と少しずつ削れていきますが、室内犬や運動量の少ない子は削れにくいため、こまめにチェックしましょう。
爪の長さは、立った時に爪の先が地面につかない程度が理想的です。

フローリングの上で爪がカチャカチャと音が鳴るようであれば切ってあげましょう。



猫は犬と異なり、自分で爪とぎをします。
爪をとぐことで、爪の古い層が剥がれて形が整い、一定の長さまでしか伸びません。
しかし、爪が短くなるわけではないため、カーペットやマットに引っかかって折れてしまったり、引っ掻かれて怪我をする恐れがあります。

また、老猫になると自分で爪とぎをしなくなり、爪が太くなって巻き爪になってしまいます。

そのため、猫も同様に定期的に爪切りをすることをお勧めしています。
実際に爪切りを行う際は、怖がらせないように気を付けましょう。
白い爪であれば、横から見ると中の血管が薄いピンク色に透けて見えます。
黒い爪の場合はどこまで血管が伸びているか外からは分からないため、少しずつ切るようにしましょう。

嫌な思いや痛い思いをすると爪切りを嫌いになってしまいます。

万が一、爪の中の神経や血管を切って出血してしまったら、しばらくティッシュなどで抑えれるか、止血剤を使いましょう。

それでも出血が止まらなければご来院ください。

また、爪切りは慣れが大切です。
小さいうちから爪切りの練習をしたり、大きくなった後でも、一気に切るのではなく1日に数本ずつ切ってご褒美をあげたりしながら爪切りは怖いものではないことを教えてあげましょう。

当院では爪切りのみも行っております。
家での爪切りが難しかったり、やり方がわからなければご相談も可能です。
お気軽にご来院ください。




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