動物の医学
猫の眼の色について
突然ですが、ねこの眼をまじまじと見たことはありますか?
あまり見つめすぎるとねこちゃんが怖がってしまうのでほどほどにしないといけないのですが、みんな綺麗な色をしていますよね。
何匹かを見比べると、その子によって色が違うことに気が付くかもしれません。
ねこの眼の色はいろいろありますが、大きく分けると3種類に分けられると思います。
それは黄色(もっと濃くなると褐色)、緑色、そして青色です。
なぜその子によって眼の色が違うのかというと、眼の虹彩という部分のメラニン色素の量によって変化するためです。
子猫はまだ虹彩にメラニン色素が沈着していないため、灰色のようにもみえる青色の目をしており、これは「キトンブルー」と呼ばれます。
早いと2ヵ月齢頃から色素が沈着し始め、その子本来の色に変っていきます。
その子がどんな眼の色になるかは遺伝によって決まっており、シャムやラグドールなどの一部の猫種は必ず青い眼になります。
また遺伝によって決まっているので、毛色からある程度推測することもできます。
例えば、黒猫は黄色か緑色がかった色にしかならないようですし、白猫は青色のことが多いようです。
なぜメラニン色素が少ないと青く見えるのかというと、例えば晴れた空が青く見えるように、青く見える光の波長が多く散乱することによってそう見えるようです。この現象をレイリー散乱といいます。
かつてルネサンス期、レオナルド・ダ・ヴィンチは遠くにある物ほど青く霞んで見えることに気づき、絵画においてそれを表現しようとしました。その技法は空気遠近法と呼ばれるものです。
ねこの眼においては霞むということは関係ありませんが、光とその見え方について、多少通ずるものがあるように個人的に感じました。
さて、話が少し脱線しましたが、ねこの眼には、虹彩の色が左右の眼で違うオッドアイや、1つの虹彩に2色がはっきりと出ているダイクロイックアイもあるようです。
オッドアイは白猫に多く、青い眼の側に聴覚障害を伴う場合が多いことが知られています。
オッドアイはある程度知られていると思いますが、私はまだダイクロイックアイの子に出会ったことはありません。
皆様の周りにはオッドアイやダイクロイックアイのねこちゃんはいるでしょうか。
最後に、キトンブルーがどのように変っていくのかご存知ですか?
眼の中心付近からでしょうか?
反対に、辺縁からでしょうか?
それとも規則性はなく、その子によって異なるのでしょうか?
正直に申し上げますと、実は私もわかりません。
しかし5月に捨て猫を保護し、新たな家族として迎えたので、今その子の眼を観察しています。
まだ完全には変っていませんが、どうやらうちの子は辺縁から黄色か緑色のような色に変っているように見えます。
子猫を飼い始めたら身体の成長と共に、眼の色の変化にも注目してみてはいかがでしょうか。
将来いい思い出になると思います。
またもう成猫の子も、その眼の色はその子だけの色です。
そう考えると、より愛おしくなりませんか。
以上、ねこの眼の色について簡潔にご紹介いたしました。