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動物の医学 癌・腫瘍: 2019年2月

肥満細胞腫?おうちの子、日々ちゃんとチェックしてますか?

症例報告 ~こんな病気、治療しています~
『皮膚型肥満細胞腫』 13歳MIX犬雄

みなさん、普段からおうちの子の体に触っていますか?
皮膚の表面や、皮膚の中に「できもの」はありませんか?
その「できもの」、もしかしたら危ないものかもしれません!

予防接種で来院した、13歳の雑種のワンちゃん。
「そういえば、ちょっと前からおなかにできものがあるんです。この1か月くらいで急に大きくなってきたような気もします。」 身体を見せてもらうと、腹部に直径2㎝程度の腫瘤を発見しました。

見た目だけでは判断がつかないため、針生検(※)を行い、『肥満細胞腫』の可能性が高いと判断しました。
(※ 針生検とは…細い針を刺してできものの細胞を採取し、顕微鏡でみる検査)

肥満細胞腫は、皮膚や内臓にできる悪性腫瘍で、発生部位やグレードによって、手術や抗がん剤など治療法が変わってきます。
肥満細胞は、細胞中にヒスタミンなどの生理活性物質を含んだ顆粒をもっており、腫瘍化した肥満細胞が体内で増えてそれらの生理活性物質が放出されると、消化器症状や血液凝固障害などが起きることがあります。

また、肥満細胞腫の怖いところはそれだけではありません。
見た目がかなり多様であるため、ぱっと見だけでは、ただのイボなのか肥満細胞腫なのか判断ができないのです。
特に急に大きくなってきたものは要注意です。

今回の症例の場合は、手術で腫瘤を切除し、「肥満細胞腫 low grade」と確定診断が出ました。
手術にて切除できており、その他臓器への転移も見られていないため、経過は良好です。

日頃からおうちの子の体に触っておくことで、いざという時に早く異常を発見できます。
日々のチェックを欠かさず行ってください!






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